『東南文化』2023年第4号主な論文の要旨

1.無形文化遺産の体系的な保護研究（全小国 苑 利）

要旨：無形文化遺産の体系的保護は非科学的保護の論理的出発点であると同時に、非科学的保護が直面する新たな話題だ。非遺系統性保護の前提は、まず私たちは無形文化遺産自身が一つの完備な文化システムであることを認めて、そして十分に無形文化遺産自身の全体性、構造性、外部環境の開放性および無形文化遺産文化遺伝子の安定性を意識して、無形文化遺産系統性保護の重要な意義を構築する。無形文化遺産に対して体系的な保護を実施することは、無形文化遺産保護体系を改善し、無形文化遺産科学保護意識を高めるだけでなく、中国の無形文化遺産科学保護政策の制定レベルを高め、中国の無形文化遺産保護を健全に発展させることができる。

キーワード：無形文化遺産 無形文化遺産保護 系統的保護 システム論 無形文化遺産七つ種類

2.江蘇省盱眙大雲山景区接続線南区漢代墓葬発掘概報（淮安市文化財保護と考古学研究所 盱眙県大雲山漢陵文化財保護管理所）

要旨：2018年3月から7月にかけて、淮安市博物館など機関は江蘇省盱眙大雲山景区接続線南区で漢代墓31基の調査を行った。墓は長方形竪穴土坑で単棺墓が多く、少量の双棺、一槨一棺、一槨双棺墓がある。出土品は200 点余りで、釉陶器、土器が主で、少量の銅器、鉄器、玉器、木器、漆器がある。墓の形は多様で、副葬の器物は比較的豊富で、漢代の東陽城住民の葬送儀礼と物質文化を研究するために新しい資料を加えた。

キーワード：盱眙 大雲山 漢代 墓葬

3.山東省臨沂市蘭山区琅琊王路東漢磚室墓発掘概報（臨沂市文物考古研究院 臨沂市博物館）

要旨：1997年、臨沂市考古学チームは山東省臨沂市琅琊王路にある漢代の煉瓦室墓の緊急調査を実施した。この墓は地上磚と石の複合墓で、南から北へ順に左右対称の双甬道、双墓門、双前室及び東西耳室、中室、双後室がある。墓から玉衣片、陶器、石器、銅器、金器、漆器、鉄器、亀甲などの副葬品が出土した。墓の規模、構造、出土品などから、墓の主は後漢中期の琅琊国の君主と配偶者であると推定されている。

キーワード：臨沂 東漢 磚室墓 琅琊国

4.母子か夫婦か—馬王堆一号墓と三号墓の墓主の関系と関連した問題（王 震）

要旨：馬王堆1 号墓と3 号墳墓は同じ封土を使っており、3 号墳が1 号墓の墓道を切り合いしたのは、夫婦合葬という特殊な形を示していることから、両墓主は夫婦関系である可能性がある。そして2つの墓は同じ葬儀のパターンを使用して、形、大きさ、文様が同じ品物と普通の生活用品を飾って、2つの墓の主がかつて長い時間共同生活をしたことを説明する。年齢鑑定の結果、両墓主の年齢差が10歳未満である可能性もあり、これまで考えられていた母子関係ではなく、夫婦関係であることを示唆している。両墓からは豊富な副葬品が検出されている。馬王堆一号墓と三号墓の夫婦合葬墓の確認は、三号墓の墓主の身分理解に役立つだけでなく、高級貴族の葬儀制度の研究や、その中に含まれている歴史情報の解読に新たな視点を提供することができ、意義深い。

キーワード：馬王堆漢墓 利倉 利豨 母子

5.不在、臨場と超越:科学館科学普及展示の感触化的叙事研究（張 娜）

要旨：現象学が提唱する身体認知の理論は、人間の世界認識のあり方を一新する。身体認知理論の視点では、科学館での展示「企画·デザイン·見学·教育」のライフサイクルは、「抽象·具象·身体·体験·知覚·認知」という感覚的な物語になっている。科学館での科学普及は感覚的な不在、臨場、超越の3つの形態を展示しており、その中で臨場形態はさらに元感器、原感器、他感器、多感器の4種類に分けることができる。科学館での感覚的叙事方法と事例を整理することで、科学館での感覚的叙事モデルを構築することができる。科学館での感覚的叙事形態と観客の「知覚-認知」メカニズムを探索し、身体認知理論を科学館での感覚的叙事の展示の視野に入れ、科学技術展示の設計理念と方法を研究する。

キーワード：科学館 科学普及展示 官能化 叙事 具身