表示否定的“数词‘一’+量词+名词”的中日双语对照研究
2019-10-18李子
摘 要:中日双语的量词使用有诸多异同之处。其中,二者都有通过“数词1+量词+名词”的否定格式来表示彻底否定意思的功能。在先行研究中,有关于汉语比日语更频繁地使用“数词1+量词+名词”格式的研究。文章聚焦于“数词1+量词+名词”的否定格式,运用中日对译语料库中的四种文本,来考察双语中该格式的使用情况。考察结果证明:在“数词1+量词+名词”的否定格式使用时,中日无明显差异,不能成为汉语比日语更频繁使用“数词1+量词+名词”格式的证明。
关键词:中日对照;语料库;量词;“数词1+量词+名词”否定格式
中图分类号:H36 文章编号:2095-624X(2019)17-0028-02
一、引言
中国語と日本語の「数詞「一」+類別詞+名詞」の使用は、互いに類似している部分もあるが、異なる部分もある。「数詞「一」+類別詞+名詞」を否定することによって、徹底的な否定を表すことができることが、両言語の類似点として挙げられる。
日本語より中国語の方が 「数詞「一」+類別詞」を多用していることが論じられていた(大河内1985、張2001、李2012、崔2014)が、否定を行う「数詞「一」+類別詞+名詞」の場合はどうだろう。本稿は中日対訳コーパスを用いて、否定文に現れる「数詞「一」+類別詞+名詞」を取り上げて、その使用状況について考察を行いたい。
二、研究方法
考察の資料として、北京日本学研究センターが開発した『中日対訳コーパス(2003 版))を利用して、日本語の小説とその中国語訳文、中国語の小説とその日本語訳文の4種類のテキストを使って考察を行う。
研究の手順は以下のように設定する:
(1)上記の小説とそれらの訳文から、日本語と中国語の「一」に対応するすべての形を
含む「数詞「一」+類別詞+名詞」のある文全てを抽出する。抽出に使う正規表現は以下になる:
日本語:(一|1|1|いち|ひと|いっ)
中國語:(一|1|1)
(2) 抽出した例文を Excel で読み込み、考察対象にあたるものを抽出し、整理する。
(3)各例文の分析を行う。
三、调查与分析
1.中国語原文とその日本語訳文
「数詞「一」+類別詞+名詞」は、否定を表す「没有,不(ない),别,甭(?しない)」と共起し、徹底的な否定を表す。以下の例を見よう。
(3-1a)
“这不怪你。”二婶整了整衣衫。眼里没有一滴眼泪,干干的。
(3-1b)
「あんたのせいじゃない」彼女は身なりを整えた。目に涙は一滴もなく、乾いていた。
(『小鮑荘』)
(3-2a)
“只怕、要是、那你连一根骡子毛也甭想见到!”
(3-2b)
?ねえ?ひょっとすると?騾馬の毛一本お目にかかれないかもしれないよ!?
(『紅高粱』)
(3-1a)、(3-2a)は、それぞれ否定を表す「没有(ない)、甭(?しない))で、「眼泪(涙)、骡子毛(騾馬の毛))を否定している。「眼泪(涙一滴)、骡子毛(騾馬の毛一本))は、いずれも実際に存在するものではなく、ある対象として識別され、指示されることができない。つまり、「数詞「一」+類別詞+名詞」で現れる名詞は、非指示的 (non-referential西山2003)名詞であり、否定の意味を表すために「道具」として使われているだけである。
また、(3-1a)は、焦点が「涙」そのものに絞られるのではなく、「涙がない」という表現で「主人公の穏やかな気分」を表しているのである。(3-2a)も同じく、焦点が「騾馬の毛」にあるのではなく、極めて小さい「騾馬の毛一本」を否定することを通じて「何もない」という意味を強調しているのである。
2.日本語原文とその中国語訳文
「数詞「一」+類別詞+名詞」は、否定を表す「ない」、「ぬ」、「ず」などと共起し、徹底的な否定を表す。以下の例を見よう。
(3-3a)
適当な湿気さえあれば、一日で芽をふきそうな雑草が、ところどころに浅い根をひろげている以外、生物らしいものの影一つない。
(3-3b)
只要有适当的湿度,一天就会发芽的杂草,随处叉开它那浅浅的根;除此以外,再没见一丝生物的影子。
([『砂の女』)
(3-4a)
月は、まだ薄色で冬の夜の冷たい冴えはなかった。鳥一羽飛ばぬ空であった。
(3-4b)
月色虽已渐渐淡去,但余韵无穷,并不使人产生冬夜寒峭的感觉。天空没有一只飞鸟。
(『雪国』)
(3-3a)、(3-4a)は、それぞれ「ない、ぬ」で「生物らしいものの影一つ、鳥一羽」を否定している。「生物らしいものの影、鳥」は、いずれも実際に存在するものではなく、ある対象として識別され、指示されることができない非指示的名詞であり、否定の意味を表すために「道具」として使われているだけである。
(3-3a)も(3-4a)も、「量が少ない」という意味を持つ「一」を否定することを通じて、「「一」さえない」、「何もない」という寂しさを表していると考えられる。
3.両言語における使用状況の比較
否定を行う場合の「数詞「一」+類別詞+名詞」の使用状況を確認するため、中日対訳コーパスでその出現回数を調べた。
表2に見られるように、否定を行う場合の「数詞「一」+類別詞+名詞」は、日本語より中国語で多用されているとは断言できない。
四、结论
本稿は否定を行う「数詞「一」+類別詞+名詞」パターンを対象とし、コーパスを用いて対照考察を行った。
「数詞「一」+類別詞+名詞」を否定することによって、徹底的な否定を表すこと機能が、中日対訳コーパスの4種類のテキストで確認できた。それぞれの出現回数から見ると、どの方が「多用している」ことが断言できない。また、否定を行う「数詞「一」+類別詞+名詞」パターンで使う名詞は非指示的であり、否定の意味を表すために「道具」として使われていることが分かった。
本考察の問題点としては、コーパスの規模が小さいことと、翻訳テキストのオリジナル性が弱い点が挙げられる。大規模なコーパスによる考察とオリジナルテキストによる考察を今後の課題にしたい。
参考文献:
[1]大河内康憲.量詞の個体化機能[J].中国語学,1985(232).
[2]張麟声.日本語教育のための誤用分析[M].東京都:スリーエーネットワーク,2001.
[3]西山佑司.日本語名詞句の意味論と語用論—指示的名詞句と非指示的名詞句—[M].神户:ひつじ書房,2003.
[4]李子.「数詞「一」+類別詞+名詞」の使用に関する日中語対照研究[D].日本名古屋:名古屋大学修士論文,2012.
[5]崔明姫.现代日语数量表达方式的研究[M].上海:上海交通大学出版社,2014.
作者简介:李子(1985—),女,蒙古族,辽宁阜新人,硕士,沈阳师范大学国际交流合作处教工,研究方向:日语语言学(中日对照)。