シリーズ日本语教育最前線(2)
2010-04-24日本杏林大学外国语学部大学院教授
日本 杏林大学外国语学部·大学院教授
本シリーズ(1)で,语の文体的特徵の问题を取り上げた。引き続き,今回もこの问题について考える。
语の文体的特徵と语种との间にはしばしば相関関係が见られる。汉语は一部の和製の语を除けば,中国语由来のものであり受け入れ当初は一部の知識人にしか理解されないものであった。ただし,その一部の知識人にとっても汉语は改まり度の高いかなり高度なことばであった。この点,日本语固有の语である和语とはとても大きな隔たりがあった。今日総じて汉语には文体的に格调の高い难しい语が多いとされるのも,このような事情によるものである。
ところが,时间の経过とともに汉语の中に日常语化が进んだものが出て来た。代表例の中でも早期のものとしては,「一」「二」「三」などの汉语数词や「往生」「饿鬼」「杀生」などの仏教関连语を挙げることが出来る。「一」「二」「三」などはもはや现代において,和语数词と同様いやそれ以上に日常的に用いられるものとなっている。<どうにもしようがなくなること。闭口>などの意味で用いられる「往生」,<手に负えない子供>の意味で用いられる「饿鬼」,<ひどいやり方>の意味で用いられる「杀生」などは,仏教世界を离れ日常语化したものと言える。
ところで,现代日本语における语の语种别使用数の调查では,汉语は书きことばに多く,和语は话しことばに多いという报告があるが,これは概して汉语は改まり度が高く,和语は改まり度が低いということを物语っている。つまり,改まり度から见た语の文体的特徵は,次の(1)のような関係にあるものが多いというわけである。
(1)汉语の改まり度が高く,和语の改まり度が低いもの
昨日——きのう
本日——きょう
明日——あす
今年——ことし
家屋——いえ
遊戯——あそび
开始——始まり
歓喜——喜び
しかし,次のように逆の関係にあるものも见られる。
(2)和语の改まり度が高く,汉语の改まり度が低いもの
こよい——今夜·今晚
まなび——学问·学习
いくさ——戦争
とわ——永久
めおと——夫婦
やまい——病気
このように和语の语の改まり度が高く,汉语の改まり度が低い场合,その和语は雅语风になっているものが少なくない。ちなみに,B社国语辞典には,「こよい」「まなび」「いくさ」「とわ」「めおと」は「雅语的表现」と记され,「やまい」は「雅语の动词『病ふ』の连用形の名词用法」と记されている。
さらに,次のような対も见られる。
(3)一方の汉语の改まり度が高く,他方の汉语の改まり度が低いもの
昨年——去年
明年——来年
都邑——都会
「昨年」と「去年」はどちらも汉语であるが,両者は改まり度に差がある。本来この意味の和语としては「こぞ」があったが,今日ではもはや古语となっており用いられない(なお「旧年」という汉语もあるが,A社国语辞典に「年が明けてから前年をさして言う」,B社国语辞典に「年の初めに言う言葉」とあるように使用时期が限定される特殊なものである)。「明年」と「来年」も同様の対である。本来この意味の和语としては「こむとし(来む年)」があったが,これも今日では用いられなくなっている。ちなみに,B社国语辞典にはこのような「昨年」「明年」は「少し改まった表现」,「都邑」は同じく「『都会』の意の汉语的表现」と记されている。
(1)と(2)では语种と语の改まり度の対庥関係が逆で,(3)では同语种间で改まり度に差があるというように,语の改まり度は语种だけでは必ずしも决まらないことが分かる。
次に,时を表す语彙について改まり度の面から分析した図を示す。
现代日本语における「时を表す语彙」
现代日本语における「时を表す语彙」
ミョウネン ライネン意〉あすミョウチョウミョウバンミョウヤ︵キュウネン︶ サクネン キョネンコンネン ホンネン ことしコンバンこよい コンヤサクジツ きのうサクチョウ高 ↑ 改まり度 ↓のミョウニチ あした〈 明日サクバンサクヤ ゆうべ〈 昨夜の意〉ホンジツ きょうコンチョウ けさ低
図からも明らかなように语の改まり度は语种だけで判断はできない。では,どのようにすればよいか。
ここで,注意すべきことは改まり度が低い语は概して使用频度が高いということである。例えば,改まり度の低い「来年」は改まり度の高い「明年」よりもはるかによく使用されるのであり,改まり度の低い汉语「永久」も改まり度の高い和语「とわ」よりもよく使用されるのである。
このような事宓から,改まり度から见た语の文体的特徵は,语种だけでなく使用频度も参考にして推测するのがよいであろう。
なお,外来语はパン,バター,インターネット,モノレールなど特别な文体的特徵をもたない语が少なくないが,それは対となる和语や汉语がなく,特定の文体に限定されずに使用されるためと考えられる。