『東南文化』2017年第5号主な論文の要旨
2017-01-28
『東南文化』2017年第5号主な論文の要旨
1.我が国における書画表装と修復理念の転換と実践(何偉俊 鄭冬青 陳瀟俐 于書大 張 諾)
要旨:我が国における書画表装と修復理念と実践が長い歴史を持ち、現段階において西洋の修復理論および現代科学手段を参考にして、最少干渉原則、最大情報保留原則、安全性原則、再処理可能原則などの原則が徐々にまとまった。修復前期の調査、修復技術路線と修復効果評価などを完成させている。特に、書画文物表装修復理念の転換を基に文化遺産保護修復に関する再考を通り、“元表装保留表装”、“旧表装に戻る表装”、“改め表装”という三つの修復路線がまとまった。これらの理念の転換と実践に関する模索は徐々に中国独特と中国国情に適する書画表装と修復理論体系を完成させてきた。
キーワード:書画文物 表装と修復 修復理念 文物保護 転換
2.江蘇贛楡塩倉城(廟台子)遺跡発掘簡報(南京博物院 連雲港市博物館 贛楡区博物館)
要旨:塩倉城(廟台子)遺跡は江蘇贛楡区海頭鎮龍河郷塩倉城村に位置し、龍王河北側にあり、方形に近い城址だ。城内において北西に台地があり、さらに城址の北西1.5キロ離れた所に石嶺大温荘片漢墓群があり、漢代の住民の墓地だと考える。2015年9月から2016年1月にかけて、南京博物院が連雲港市博物館と贛楡区博物館と共同で、廟台子東側と城址北西にある墓地に小規模の緊急調査を行った。龍山文化、岳石文化、周代と漢代の遺構などが見つかった。遺構には住居址、灰坑、灰溝と墓、遺物には土器と石器と銅器が検出された。該当調査は塩倉城遺跡の内容を解明し、当地域文化の研究に重要な意味を持つ。
キーワード:贛楡 廟台子 龍山文化 岳石文化 周代
3.江蘇新沂釣台遺跡発掘簡報(南京博物院 徐州博物館 新沂市博物館)
要旨:釣台遺跡は江蘇新沂市双塘鎮釣台村の北西に位置する。2016年7月から2017年1月に掛けて、南京博物院は徐州博物館と新沂市博物館などの機関と共同で、釣台遺跡の調査を実施した。西周早中期において住居址と墓はそれぞれ2基、漢代において溝が1基検出された。また、土器、石器、銅器と骨器などが大量出土した。住居址F2は平面が長方形で、柱穴と壁基礎(根入れ用の溝)が検出された。墓は皆竪穴土坑墓で、東向き、副葬品には鬲と罐が基本的な組み合わせだ。沂河と沭河の下流域において殷周時代の遺跡についての調査はまた少ない。釣台遺跡の調査は当該地域の関連研究には基本的な資料になり、比較的な高い価値がある。
キーワード:新沂 釣台遺跡 西周 前漢
4.海岱地区における先史時代の稲遺物について(靳桂雲 郭栄臻 魏娜)
要旨:考古発見によって、海岱地区における先史時代稲遺物の数が後李文化から龍山文化まで増えてくる傾向があり、稲遺物の空間分布範囲は徐々に拡大していく。岳石文化において、稲遺物の数が減っている。後李文化時期において、食糧の生産は低い水準で、稲は人類生活中における重要性は低い。北辛文化―大汶口文化早中期において、農業は生業経済の主役で、稲の栽培は農業生産の安定なモデルになった。龍山時期において農業は生産強化段階に入り、稲作農業は海岱地区における史上最高水準に達する。岳石文化時期において稲作農業は衰えていて、畑農業が強化になった。
キーワード:海岱地区 先史 稲遺物 農業
5.江蘇鎮江丁家村遺跡の炭化植物の分析(呉文婉 司紅偉 王書敏 李永軍)
要旨:炭化植物の分析結果によって、丁家村遺跡において集落の生業には農業が主役で、野生植物資源の採集も行っていた。農作物には粟、黍、稲、小麦と大豆などがあり、典型的な稲畑混作モデルに属する。水稲は丁家村所在の寧鎮地区の伝統農作物で、粟と黍と小麦は外来種で、畑作物だ。これらの作物の出現は寧鎮地区と海岱との地域間の文化交流の結果で、中に粟と黍は小麦より早い時期に伝来したものだ。寧鎮地区湖熟文化遺跡から検出された炭化植物の分析結果の発表は初めで、湖熟文化における生業経済の研究には新材料と手掛になる。
キーワード:丁家村遺跡 湖熟文化 稲畑混作
(翻译:黄建秋)